
北条早雲八十一歳。
彼が走り続けた跡に残ったものは何か。
小田原城を得た後はひたすら領国経営に努めた。

・・・たとえば、晩年、馬泥棒を警吏がつかまえた。
法を確立するために、早雲一代においては
そういう者までかれ自身が裁いた。
馬泥棒はみずからの非をみとめたが、しかし、
「わしが盗んだるはたかが馬じゃ。
国をお盗み遊ばした方があれにおわす」
と、早雲を指さしたとき、かれはあかるく笑い、
いかにもそうだ、といってその盗人を
放してやったという。・・・・
箱根の坂〈下〉 (講談社文庫)

戦国時代に幕を切って落とした張本人は、
その生涯を終えるとき、何を想っていたのであろう。



