国盗りの大悪党。

様々な代名詞を欲しいがままにした
伊勢新九郎こと後の北条早雲。
しかし、京から出て、己の才覚だけで
駿河、伊豆と勢力を伸ばし、
小田原を手中に治められた背景には、
領民に寛大で、家中の者を大事にしたという事実も認められる。
・・・・(小田原を討とう)と、決心した。
敵は、甲斐の武田ではなく、相模小田原の
大森氏であるという肚が、富士の稜線よりも
くっきりと出来上がった。
早雲の胸に、悪謀が湧いている。
悪謀は山河湖沼の形をしていた。
この甲州境いの籠坂峠にあって、
軍勢の顔を甲州に向けながら、
そのじつ東方の足柄・箱根の山塊をおもい、
さらにはその重畳とした山々を越えて
小田原を攻めおとそうというのである。・・・・
箱根の坂〈下〉 (講談社文庫)

簡単に小田原を落とした早雲だったが、
小田原を攻めるにあたり、苦悩が続く。
「後世の大悪人になるのではないか...」

小悪人ではなく、後に英雄と言われる者の苦悩であろう。



